特定調停Q&A

特別調停に関する疑問・質問にお答えします。

Q.特定調停とはどのような手続ですか?

A. 簡単に説明すると、債務者(さいむしゃ)(あなた)の経済状態を全て明らかにした上で、簡易裁判所の監督の下、複数の債権者(さいけんしゃ)(サラ金業者など)と調停を行い、原則3年かけて返済を行う債務整理方法です。特定調停は、あなた自身が2〜3回簡易(かんい)裁判所に出向いて話し合いをしなければなりませんので、きちんと勉強しておかないと、調停を失敗させる恐れもあります。

『特定調停』について、もう少し詳しく説明しましょう。
 消費者金融などから借金のある人で、このままでは返済を続けていくことが難しい人、つまり、近々支払期日が来るけれども契約どおりに借金の利息や元金を支払っていたら最低限度の生活費にすら困ってしまう人などが、裁判所(調停委員)の力を借り、法律等に基づき残債務を確認し、債権者と返済方法等について話し合って生活や事業の建て直しを図るための手続きが特定調停です。
調停は、簡易裁判所より指定された期日に、非公開で行なわれ、原則、本人が出頭します。希望した場合は、家族の者が本人と一緒に同席をすることも柔軟(じゅうなん)に認められています。
 調停委員は、まず申立人(あなた)から生活や事業の状況、これからの返済方法などについて詳しく聞きます。次に相手方(債権者)の考えを聞いて、残っている債務をどのように支払っていくことが、公正かつ妥当(だとう)で、経済的に合理的なのかについて、双方(そうほう)の意見を聞いて調整していきます。
 もちろん調停の後には、きちんと分割返済していくことになるわけですから、全くの無職で無収入などという人は、自己破産など別の対応方法を検討してください。特定調停は、あくまでも借金を返済しながら、生活を再建していく制度なのです。。

Q. どのような場合に特定調停が向いていますか?

A. 例えば、 @借りてからからの期間が長い場合、A借金総額があまり多くない場合(200万以内が一応の目安)、B債権者が多くない場合(5社前後、多くても10社が目安)、Cまとまった返済金が準備できる場合、D不動産等の財産を所有している場合、E自営業者が営業を続けながら借金を整理する場合などには、特別調停の選択がかなり有効です。
 仕事が安定していて、比較的収入が多い方は、個人再生手続きとの関係でどちらが生活再建に有効か検討しましょう。

Q. 特定調停のメリットは何ですか?

A. 第1のメリットは、調停を申し立てたことを通知すると、各サラ金業者等の取立てが止まることです。金融庁の事務ガイドラインで、「調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること」は禁止されています。ですから、サラ金等の取立てに悩んでいるけれど弁護士や司法書士等の法律家に依頼できない人は、特定調停の申し立てをして取立てを止めることができます。調停を申し立てて受理証明を受け取ったら早急に債権者に送付しましょう。
 特定調停は裁判所が債権者と債務者の間に入って弁済計画の作成をしてくれますので、任意整理のように弁護士・司法書士に依頼する必要がありません。申し立て書類の作成も、自己破産や個人再生に比べると非常に簡単ですので、法律知識が全くない人でも申し立てることができ、申立費用も非常に低廉(ていれん)(安価)です。また、特定調停の手続き中に、一部の債権者から給与の差押えなどを受けても、調停成立の見込みがあるなどの一定の要件を満たせば強制執行(きょうせいしっこう)手続きを停止することができます。
 第2のメリットは、利息(りそく)制限法(せいげんほう)を超える利率で借り入れている場合には、利息制限法に基づいて借金を計算し直し、残金を減らすことができることです。調停委員は、貸主に対して全ての取引内容を提出するよう命令できます。貸主が持っている「貸付(かしつけ)弁済(べんさい)についての資料」を提出してもらい、それを履歴(りれき)の古い順に利息制限法に基づいて計算し直せば借金が減ります。10年以上にわたるなど、長期に借入をしていた場合は過払(かばらい)(きん)が発生していることもあります。しかし特定調停では原則として過払金の請求はできませんので、別に不当(ふとう)利得(りとく)返還(へんかん)請求(せいきゅう)訴訟(そしょう)一般(いっぱん)民事(みんじ)訴訟(そしょう)を起こすことになります。

Q.利息制限法について教えてください。

A. 例えば、あなたがサラ金A社から「50万円の借金を利息年29%で借りていた」としましょう。
 まず、『利息制限法』という法律では、この額では年18%を超える部分の利息は無効としています。しかし、多くの消費者金融は、つい最近まで年25〜29.2%の利率で貸し付けていました。
 これは、『出資法』と呼ばれる法律が別にあって、それによると「年29.2%以上の利息の約束をしたり受け取った場合は、懲役(ちょうえき)もしくは罰金を科す」となっているため、多くの消費者金融は、利息制限法では無効だけれど、出資法の罰則にふれないグレーゾーンで貸付をしているのです。つまり、消費者金融側としては、罪にはならず、債務者が利息制限法を引き合いに出さないで利息を払ってくれれば言うことなしというわけです。だったら、債務者の方は逆に『利息制限法』を武器にすればいいのです。
 いままで50万円の元金に対して、29%の利息を払っていたものを利息制限法内の利息18%だったとして再計算してみます。すると11%分利息を多く払っていたことになります。その今まで多く払っていた分は利息ではなく、元金の返済をしていたことになって、元金残高が減るのです。
 このように、利息制限法に基づいて再計算することにより、高利のために返しても返しても減らなかった借金が減り、つまりは返済残高が減ることになるわけです。

Q. 特定調停と任意整理の違いは何ですか?

A. 第1の違いは、特定調停では、裁判所が貸主・借主間の借金整理の話し合いの手助けをすることです。
 任意整理の場合には、弁護士や司法書士等の法律家が本人の代理人となって貸主と交渉し、和解を成立させます。これに対して、特定調停の場合には、本人が調停委員の助けを借りて貸主と話し合い、和解を成立させます。
 第2の違いは、特定調停の場合には、複数の貸主をまとめて申し立てることができることです。
 任意整理の場合には、個々の貸主と個別に交渉していきます。これに対し、特定調停の場合には、本人が複数の貸主をまとめて申し立て、特別調停の期日に個別に貸主と裁判所で話し合いができます。
 第3の違いは、任意整理の場合は法律家に支払う報酬(ほうしゅう)がかかり、特定調停の場合は調停申立費用がかかるという点です。調停申立費用は、一般的には弁護士等の報酬より格段に低いので、法律家費用の支払いが難しい場合は特定調停を申し立てるのも一つの方法です。

Q. 任意整理と比べた場合、特定調停のデメリットはなんですか?

A. 特定調停は任意整理と違って裁判所が関与する手続きですので、申立人は調停が成立するまでは数回、裁判所に足を運ぶ必要があります。例えば、仕事などが忙しくて平日の昼間に時間がない人には負担となりるでしょう。
 また、調停が成立すると調停調書が作成されますが、これは確定判決と同じ効力がありますので、もし、調停成立後に返済が(とどこお)れば、債権者は訴訟を提起することなく直ちに給与の差押えなどの強制執行(きょうせいしっこう)手続きをすることができます。

Q. 特定調停は、どこに申し立てればいいのですか?

A. 特定調停は、原則として、相手方の住所・居所・営業所がある地域の簡易裁判所に申立てますが、複数の貸主を相手方として一つの簡易裁判所で事件を一括して申し立てることができます。この場合、債権者数の最も多い地域の簡易裁判所に一括して申立てを行なうことになります。

Q. 特定調停を申立てるには、いくらかかりますか?

A. 特定調停を申立てるためには、@申立手数料(印紙代)一社につき500円、更に、A貸主の数に応じた郵券切手を裁判所に提出する必要があります。また、貸主が法人の場合、法務局でB代表者事項証明書(一通 1,000円)をとらなければいけない場合もあります。
 具体的な金額は、申し立てる簡易裁判所に問い合わせてください。

Q.  保証人に迷惑はかかりませんか?

A. 特定調停をしても保証人には影響がありませんので、債権者は保証人に請求することができます。ですから、保証人がいる場合は事前に保証人に事情を説明して、場合によっては保証人も一緒に特定調停をする必要があります。

Q. 家族に内緒にできますか?

A. 特定調停の申立てをしても特に裁判所から家族に連絡がいくことはありません。ただし、家族が保証人になっているような場合は、債権者から保証人に請求が行くことになりますので、内密にすることはできないでしょう。
 また、特定調停は債権者に分割弁済をしていく手続きなので、家族の理解を得て返済計画を立てることが必要でしょう。

Q. 特定調停が成立しない場合はありますか?

A. 特定調停を申し立てても、協力してくれない業者がいる場合があります。また、中には裁判所に、全ての取引(とりひき)履歴(りれき)を開示しない業者もいますが、そのような業者に対しては、監督官庁に行政指導を求めたりしましょう。
 計算書が提出され、利息制限法での再計算ができるなら、調停委員に民事調停法17条による決定(17条決定)を求めます。これは調停が成立する見込みがない場合に、裁判所が申立ての趣旨(しゅし)に反しない範囲内で、職権で行なう決定です。ただし、相手側から異議が出れば17条決定の効力は失われます。
 調停が不成立として終了してしまったり、17条決定がされたにもかかわらず異議によりその効力が失われた場合は、「調停の取下げ」ではなく「調停の不調」にしてもらいましょう。どちらの場合も調停が不成功に終わることには変わりありませんが、弁済のために努力した記録を残すことになります。
  
 調停が不調になったら次のような対処をおこないましょう。
◎不調後の不当な取立てには何度でも行政処分を求めて争います。
◎利息制限法で債務が残っていないなら支払いを拒否します。
◎残債務が残っている場合には、利息制限法で計算した利息以上の金額を約定弁済期日に弁済(べんさい)可能な少額で弁済を続けます。
◎少額弁済を続け、計算して元金がなくなったら完済通知を送ります。
 また、再び調停を申立てることも可能です。


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